
- 「天然由来成分配合]
- 「植物エキス配合」
- 「オーガニックコスメ」
化粧品の広告でこんな表現を聞くと、「肌に優しそう」「刺激にならなくて、肌に良さそう」というイメージを持たれますよね。
残念ながら、「オーガニックコスメだから肌に良い」という認識は間違っています。
「天然成分由来」「植物エキス」ならではの、落とし穴があります。
誤解のないように申し上げますが、「オーガニックコスメがダメ!」というわけではありません。
とはいえ、「オーガニックだから肌に良い」「天然由来の植物成分だから安心・安全」←この認識は間違っています。
この記事では、
- コスメコンシェルジュ&日本化粧品検定1級
- コスメ薬機法管理者
- スキンケアアドバイザー
- 美容薬学検定1級
といった美容の資格を持っている私が、
- オーガニックコスメの落とし穴
- オーガニックコスメのメリット
- 「天然由来の植物成分」の真実
などを解説しています。
この記事を読めば、化粧品メーカーの広告に惑わされなくなり、正しい知識を持って自分に合った化粧品を選べるようになります!
「オーガニックコスメ」は、日本では定義されていない
「オーガニックコスメ」とは、植物エキスが配合された化粧品をさすことが多いですが、特に厳密な決まりはありません。
そもそも「オーガニックコスメ」の「オーガニック」とは、化学肥料や農薬を一切使わない「有機栽培」のことをいいます。
この「有機栽培」で栽培された植物を使ったり、単にローズマリーやレモンエキスなどの植物エキスが配合されている化粧品を、「オーガニックコスメ」と呼ぶ場合が多いです。
「有機栽培JAS認証」は化粧品には適応されない

そして「有機栽培」として認定機関に認証されれば、「認定マーク」が付けられます。
上の画像↑が、その「有機栽培JAS認定マーク」
他サイトからの引用ですが、「有機栽培JAS認定」とは
禁止農薬や化学肥料、遺伝子組換え技術などを使用せず、種まきまたは植え付け前2年(多年草は3年)以上、有機的管理を行った水田や畑で生産されたものが「有機農産物」です。
そんな有機農産物を95%以上使用して、薬剤や有機ではない原材料や製品などが混ざらないように製造したものが「有機加工食品」です。
https://koaa.or.jp/system/
文章がめんどくさいので要約すると、
- 化学肥料を使ったり、遺伝子組み換え技術を使ったりしていない
- 過去2年間、農薬や化学肥料を使用していない土壌で栽培
これらの条件で栽培された「食品」に、「有機JAS認定マーク」がつけられます。
ここでもう一度言いますが、「有機JAS認定マーク」は食品に対してのみです。実は化粧品には適応されません。
「有機JAS認定マーク」は「食品」に対してのものであり、化粧品には適用されない
オーガニックコスメの認定機関は、日本に存在しない
海外にはオーガニックコスメの認定機関がたくさんあります。


など、各国にさまざまな「オーガニックコスメ認定機関」があり
- 植物原料は95%以上使用していなければならない
- 石油由来原料、合成着色料、使用不可
- リサイクル可能な容器であるか?
- 製品の流通経路は環境に配慮されているか?
など厳しい審査基準を持っており、
「オーガニックコスメは厳しい審査基準をクリアした、安心・安全の肌に優しい化粧品!!」
というのは海外の話であって、日本にこのような認定機関は存在しません。
日本の化粧品技術は世界でも有数ですが、オーガニックコスメの定義に関しては、割と適当です。
日本の「オーガニックコスメ」の定義はあいまい
日本には「オーガニックコスメの認定機関」は存在しないので、そもそも「オーガニックコスメ」の定義があいまいです。
何かしらの植物エキス(アロエエキスやオレンジ果実エキスなど)が1つでも配合されていれば、「オーガニックコスメ!」とうたうことができてしまう。
定義する機関がそもそも存在しないので、当たり前といえば当たり前ですよね。
なかには海外の認定機関の認証をしっかり受けた製品もあるでしょうが、メーカーのさじ加減で何とでも言えてしまうが実情。
適当というか・・・いい加減というか・・・
「天然由来成分」だからこそ危険性がある

「天然由来成分」という表記
「人間の手を一切加えていない、自然界で育った植物」と聞くと、何となく安全で肌に優しいイメージがありますよね。
安心・安全だと思われがちですが、それは勘違いです。
- 当たり前ですが植物は自然界に存在しています。
- 植物はその場から動けないので、自分の身を守る手段が限られています
- 自然界の厳しい生存競争から生き残るため植物にできることは、「毒素の排出」
植物は身動きが取れないので、外敵から身を守る手段は限られていますよね。そう、「毒素を出して身を守る」ぐらいしか、できることがありません。
そんな植物から抽出したエキスを、化粧品へ配合しています。
もちろんエキスに使用される植物は、水やエタノールなどで極限まで薄めて抽出されるので、さすがに毒素が出るとかはないと思います。
エキスに使用する植物を選ぶときや、植物エキスをつくるときにも、綿密な検査を重ねているだろうから安全でしょう。
しかし「天然由来成分」だからこそ、まだ解析し切れてない成分が混入しているかもしれないため、どんな肌トラブルが起きるのかわからないのです。
近年の気候変動の現状を考えると、環境に適応するため植物もどんな変化をするか分からない・・・
しかし「植物エキスが原因で肌トラブルが起きた」という事例も聞かないし、現に植物エキス配合の化粧品はたくさん売られているので、考え過ぎといえば考え過ぎですが。
そんな大変なことが起きたら、テレビやSNSでとっくにバズっています。
さまざまな研究を重ねに重ねたメーカーの、たくさんの安全性のテストをクリアした製品が、私たち消費者に提供されているだろうから、そこまで気にしなくてもいいでしょう。
しかし「天然由来成分」だからこそ、未知の危険性が考えられることは、知っておいて欲しいです。
「合成化粧品」の方が安全
「天然」が肌に良くて、「合成が肌に悪い」と思う人が多いかもしれませんが、逆です。
「人間が人間のために研究し、開発したもの」
それが「合成成分」や「合成化粧品」だからです。
製造工程や品質管理など、厳しい審査基準で徹底的に管理されているだろうし、だからこそ安全して使えます。
どんな反応が起きるかわからないので、僕は「天然由来成分」のほうが怖いです。
そもそも「オーガニックコスメ」だって、人間が植物エキスを抽出して、人間のためにつくった「合成化粧品」なので、「合成」とか「天然」っていう区切りもどうなのかと思いますけど。
それに「鉱物油」と聞くと肌に悪いイメージがあるかもしれませんが、鉱物油の原料は石油。
石油だって自然界でしか採れないので、ある意味では「天然由来成分」になっちゃいますからね。「天然由来成分」とは一体・・
「オーガニックコスメ、植物エキス配合が絶対にダメ!!」というわけではない

「オーガニックコスメや植物エキスが絶対に悪」、というわけではありません。
「ローズマリー葉エキス」のような「抗菌・抗酸化作用」、「アロエベラ葉エキス」のような「抗炎症」「保湿」効果が期待される植物エキスもあるので、美肌効果も実際に感じられると思います。
ですが、「どこの産地で栽培されたのか」、「どのような方法で抽出されたのか」など、同じ名前の植物エキスでも、メーカーや商品によって条件はさまざまです。
そのため、「この植物エキスにはこういう美白効果があります!」とは断言できません。
植物エキスは、「香りや使い心地を楽しむためのもの」
それぐらいの認識でいるのが、ちょうど良いのかもしれません。
実際、化粧品に好きな香りが入っているだけで気分が上がるし、その成分を肌に塗っているだけで「キレイになる感覚」を得られるかと思うので※
※(プラセボ効果といいます)
「あーーーいま私は天然の植物エキスを肌に塗ってるぅぅぅーーー!!!キレイになってるぅぅぅーーー!!」
みたいな感じで、植物エキスが入っているがゆえの心地良さや、気分の高揚感などがあるでしょう。
むしろ好きな香りがある人がうらやましいです。
この記事を書いている人は「香り」に全く興味がなく、「好きな香り」なるのものが一切ありません。
何しろ金木犀(キンモクセイ)の香りが何なのかが分かっていないぐらい、香りに無頓着です。だからこそ、好きな香りがある人がうらやましいです。
「肌に良いとか」「キレイになれる」っていう感覚を持つのは、やめたほうがいいと思います。
化粧品はあくまでも、肌を清潔にするとか、健やかに保つためのもの。オーガニックコスメや植物エキスに、過度な期待をしないようにしましょう!