
化粧品に「パラベンフリー」や「防腐剤フリー」の表記があると何となく、「肌に優しそう」というイメージを持たれる方が多いと思います。
刺激が強いイメージがある「パラベン」や「防腐剤」ですが、そこまで毛嫌いするものではありません。
この記事では
- コスメコンシェルジュ&日本化粧品検定1級
- コスメ薬機法管理者
- スキンケアアドバイザー
- 美容薬学検定1級
といった美容の専門資格を持っている私が、パラベンや防腐剤について解説するともに、「どちらかといえばパラベンが配合されている方が良い」ということをお伝えしています!
「パラベンフリー」とは、「パラベン」という防腐剤が配合されていないこと

「パラベン(別名:パラオキシ安息香酸エステル)」とは、化粧品によく使われている防腐剤の一種。
化粧品以外にも食品・医薬品など、さまざまな製品に使用されています。
「パラベン」が配合されていない化粧品を「パラベンフリー」とうたって、たくさんのメーカーがアピールしています。
パラベンは
- 「刺激が強い」
- 「お肌に悪い」
- 「パラベンが入っていない化粧品が安全」
というイメージがあり、むしろ化粧品を探すときは「パラベンフリー」のものから選ぶという人もいるほど。
たくさんの人に嫌われてる成分です。
Twitterで「パラベンフリー」と検索してみても、「パラベンフリーは肌に優しい」というイメージを持たれている方がたくさんいらっしゃいます。
決してそんなことはないのですが・・・・
「パラベンフリー=防腐剤が入っていない」というわけではない
パラベンはあくまでも防腐剤の一種
防腐剤はパラベン以外にも
- フェノキシエタノール
- 安息香酸塩
- ヒノキシオール
- エチルへキセルグリセリン
など、さまざまなものがあります。
つまり「パラベンフリー」というのはあくまでも、「『パラベン』という防腐剤が配合されていない」だけであって、何かしらの防腐剤は他に配合されています。
化粧品に防腐剤が配合されていないわけがない
化粧品は未開封の状態であれば、3年間の品質保証がされています。
「厚生労働省」のホームページからの引用ですが
使用期限の表示については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品において法的な表示義務はないが、流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常となっている
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0626-11a-u_0002.pdf
化粧品は適切な温度や湿度、「直射日光にさらさない」など、保管状態が適切であれば3年間の品質保証がされています。
でもそれは、「未開封」の場合です。
化粧品を使うためには、当然開封しないといけません。開封したら、あとは劣化する一方です。
化粧品自体、数ヶ月の長期間使用することを前提としたアイテム。
劣化を防ぐために防腐剤を配合することは理にかなっているし、むしろ防腐剤が配合されていない方が個人的に不安です。
残量があっても、3ヶ月に1回とかは買い換えたいところです。
化粧品は星の数ありますからね。もしかしたら本当に防腐剤が入っていない製品もあるかもしれませんが、人気で有名な製品であれば防腐剤は配合されています。
たいていの化粧品に防腐剤は配合されている
「パラベンフリー」の安全性
「パラベンフリー」と聞くと、何となく「肌に良さそう」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
パラベンが有害かどうかは、個人差がある
パラベンにアレルギーを起こしてしまう人は、実際にいます。それでも「パラベンアレルギー」の人は全人口の1%以下といわれているので、確率はかなり低いです。
パラベンは少量で抗菌力や安全性が高く、何十年も前から使用されている防腐剤。
- パラベンはダメだけど、他の防腐剤である「フェノキシエタノール」がダメな人。
- パラベンもフェノキシエタノールもダメな人。
いろいろな人がいるので、「パラベン=悪」というわけではありません。
つまり「パラベンフリーの化粧品」というのは、「パラベン」という防腐剤が合わない、ごく少数の敏感肌に適した化粧品
それだけの話であって、普通の人はそこまで気にしなくていいものです。
むしろパラベンは、安全性の高い優れた防腐剤なので、「パラベンが配合されていた方がいい」まであります。
パラベンは少量で効果を発揮し、安全性の高い防腐剤
パラベンは何十年も前からずっと使用されている防腐剤で、安全性も保証されています。
パラベン入りの化粧品を使用して肌トラブルが起きた人を、実際に見たことがないと思いまうす。それが何よりの証拠
配合の上限も厳しく制限されており、0.2gとかの少量しか配合されていないようです。
それに比べて、例えば保湿剤としてもよく使用されている「ペンチレングリコール」
この成分で防腐効果を出すには、2~4%と多量に配合しなければなりません。
つまり、パラベンより配合量を多くしないと効果を得られない防腐剤もあるため、パラベン以外の防腐剤でも肌トラブルを引き起こしてしまうケースもあります。
パラベンが嫌われる理由は、「旧指定表示成分」だったから

その昔、「表示指定成分」というものがありました。
「表示指定成分」・・・「防腐剤」「酸化防止剤」「タール色素」などの102種類の成分に「香料」を加えた、計103種類の成分
「表示指定成分」とは、「使う人の体質によっては、アレルギー反応を引き起こす恐れのある成分のリスト」のこと。
化粧品の成分を表示する際には、この「表示指定成分」を記載することが義務付けられていました。
しかし2001年4月にこの制度が廃止され、「化粧品の全成分表記」に変わりました。
アレルギー反応を引き起こす可能性がある「表記指定成分」にパラベンが含まれていため、「パラベン=肌に悪い」というイメージが未だに残っています。
パラベン(防腐剤)フリーの本当の意味
重ねて申し上げますが、「防腐剤(パラベン)フリー」とうたっている化粧品にも、防腐剤は配合されています。
日本語のややこしいところですが、順を追って説明しますと
- 「パラベン=防腐剤」です。
- しかし「防腐剤=パラベン」ではありません。※パラベン以外にも防腐剤はたくさんあります。
- パラベンは「旧指定表示成分」=悪・・・・→「防腐剤が悪」
というイメージがあるため、「防腐剤(パラベン)フリー」とうたえば「肌刺激が強い防腐剤が入っていない、安全性の高い化粧品」と消費者に思わせることができます。
化粧品業界の闇が、ここにあります。
しかし上記にも書いた通り、パラベンが合わない人はごくわずか。
「パラベンフリー」に惑わされず、自分の肌悩みに適した成分や、信頼できるメーカーなどで化粧品を選ぶようにしましょう。
「無添加」の意味
「無添加化粧品」という言葉の定義は、とても曖昧。
何かお肌に悪そうな成分が配合されていないだけで「無添加」といったり、「旧指定表示成分」のどれかが配合されていないだけで「無添加」とうたったり。
「無添加化粧品」に惑わされず、気にし過ぎないのが一番良いです。
パラベン以外にも注意すべき成分
エタノール | さっぱりとした清涼感で男性に特に好まれるが、配合濃度が高いと肌の水分を持っていかれ、乾燥を招いてしまうかも |
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尿素 | タンパク質を分解して肌を柔らかくする効果がある。手荒れ対策の「尿素クリーム」は尿素が高濃度で配合されているため、強い刺激になってしまう可能性がある。 |
ハイドロキノン | シミ対策としての効果は確かにあるが、刺激が強すぎて肌の色素が抜け落ちる「白斑」が起きる恐れがある |
など、パラベン以外にも注意するべき成分はいくらでもあります。パラベンが配合されているかどうかは、あまり気にしないようにしましょ。
「パラベンフリー」は、気にしなくて大丈夫!!
ここまで「パラベンフリー」について解説してまいりました。
「パラベンフリー化粧品」を使用するメリットは、
「パラベンが肌に合わないことを自覚している、ごくまれに見る敏感肌の方」にのみ、恩恵があります。
安全性が高く、よく使用されている防腐剤なので、デメリットは特にないです。
そんなに危険な成分なら、とっくにこの世からなくなっています。化粧品の成分を見るようにあるとわかりますが、パラベンはあらゆる商品に配合されています。
それでも「パラベンフリー」の化粧品を使うとしたら、
- もし何かの化粧品を使用して、肌が荒れたり赤みが出たとして。
- その化粧品を保管しておいて、別の化粧品に変更してみて。
- それでも何かの肌トラブルが起きてしまったとして。
それらの化粧品にパラベンが配合されていれば、そこで初めてパラベンが合わないことが判明します。
成分表示として、パラヒドロキシ安息香酸エステル(別名:パラオキシ安息香酸エステル)とか
- メチルパラベン
- エチルパラベン
- プロピルパラベン
- イソプロピルパラベン
など、「化粧品」か「医薬部外品」かで表記が変わりますが、成分表示に「~パラベン」とか「安息香酸なんちゃら」とかが書いてあれば、「パラベン配合」の化粧品です。
そこまで来てようやく、「パラベンフリー」の化粧品にこだわるべきです。
でもそんな人なかなかいないので、基本的に「パラベンフリー」は気にしなくて大丈夫です!