防腐剤(パラベン)フリーとはどういう意味?どんなメリットがあるの?
化粧品に「パラベンフリー」や「防腐剤フリー」の表記があると何となく、「肌に優しそう」というイメージを持たれる方が多いと思います。
「パラベン」は、防腐剤のことです。
「防腐剤」と聞くと、刺激が強くて肌への負担が大きいイメージを持たれる方も多いと思いますが、実はそこまで毛嫌いするものではありません。
- 化粧品検定1級&コスメコンシェルジュ
- スキンケアアドバイザー
- コスメ薬機法管理者
- メイクアップ知識検定(ベーシックコース)
- コスメライター(ベーシックコース)
といった美容の専門資格を持っている私が、「パラベンフリーの真実」を解説していきます。
この記事を読んでいただければ、「どちらかといえばパラベンが配合されている方が良い」ということが、お分かりいただけると思います。
記事を読むことで、化粧品選びがもっと賢くなり、自分にとって本当に良い製品を見つける新たな視点を得られます。
記事を読んでいただければお分かりいただけるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください!
「パラベンフリー」とは?防腐剤が入ってないこと?
- アルコールフリー
- 鉱物油フリー
- 香料フリー
など「〇〇フリー」とうたっている化粧品に「パラベンフリー」の表記があることが多いですね。
化粧品に興味がある人なら、誰しも「パラベンフリー」の表記を見かけたことがあると思います。
しかし「パラベンフリー」かどうかは、気にしなくて大丈夫です。
以下、その理由を解説していきます。
パラベンとは、防腐剤の一種
化粧品によく使われている防腐剤の一種。
化粧品だけではなく、食品・医薬品の防腐剤としても、よく使われる。
メチルパラベン・プロピルパラベンなどの種類がある。
化粧品だけではなく、医薬品や食品にも防腐剤としてよく配合されるのが「パラベン」です。
化粧品以外にも食品・医薬品など、さまざまな製品に使用されています。
「パラベン」が配合されていない化粧品を「パラベンフリー」とうたって、たくさんのメーカーがアピールしています。
「パラベンフリー=防腐剤が入っていない」というわけではない
パラベン以外にも防腐剤は数多く存在しており、そのなかの一つに「パラベン」があるだけです。
防腐剤はパラベン以外にも
- フェノキシエタノール
- 安息香酸塩
- ヒノキシオール
- エチルへキセルグリセリン
など、さまざまなものがあります。
つまり「パラベンフリー」というのはあくまでも、「『パラベン』という防腐剤が配合されていない」だけであって、何かしらの防腐剤が他に配合されています。
化粧品に防腐剤が配合されていないわけがない
防腐剤って、何となく肌への刺激が強そう
そんなイメージを持たれている方も、いらっしゃるかもしれません。
「防腐剤が入ってない=安全性が高い」というイメージがあるかもしれませんが、それは逆です。
防腐剤の役割
防腐剤は製品が腐敗するのを防ぐために使われます。
これによって、製品の品質が長持ちします。
特に美容・メイク製品においては、防腐剤がないと細菌が繁殖しやすく、それが皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
防腐剤が入っているからといって、それが危険というわけではありません。
多くの防腐剤は厳しい安全基準をクリアしています。ただし、アレルギー体質の人は注意が必要です。
防腐剤フリー製品のリスク
防腐剤が入っていない製品は、保存状態や使用方法によっては、すぐに腐ってしまう可能性が高いです。その結果、製品自体が危険になることもあります。
「防腐剤が入ってない=安全」というイメージは誤解です。
防腐剤が入っていることで、製品は長持ちし、細菌の繁殖も防げます。ただし、自分の肌に合うかどうかは別問題なので、製品選びには注意が必要です。
腐敗させないために、防腐剤が入っているほうがいいです。
化粧品は未開封の状態であれば、3年間の品質保証がされています。
「厚生労働省」のホームページからの引用ですが
使用期限の表示については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品において法的な表示義務はないが、流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常となっている
化粧品は適切な温度や湿度、「直射日光にさらさない」など、保管状態が適切であれば3年間の品質保証がされています。
でもそれは、「未開封」の場合です。
化粧品を使うためには、当然開封しないといけません。開封したら、あとは劣化する一方です。
化粧品自体、数ヶ月の長期間使用することを前提としたアイテム。
劣化を防ぐために防腐剤を配合することは理にかなっているし、むしろ防腐剤が配合されていない方が不安になりませんか?
化粧品というのは一度開封したら、何をどうやっても劣化していく一方です。
それゆえ、たとえ残量があっても、3ヶ月に1回は買い換えたいところです。
化粧品は星の数ほどありますからね。もしかしたら本当に防腐剤が入っていない製品もあるかもしれませんが、人気で有名な製品であれば防腐剤が配合されています。
たいていの化粧品に防腐剤は配合されている
「パラベンフリー」の安全性
「パラベンフリー」と聞くと、何となく「肌に良さそう」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
「パラベン」に対して悪いイメージを持っている人は少なくありません。
- 「刺激が強い」
- 「お肌に悪い」
- 「パラベンが入っていない化粧品が安全」
というイメージがあり、むしろ化粧品を探すときは「パラベンフリー」のものから選ぶという人もいるほど。
たくさんの人に嫌われてる成分です。
決してそんなことはないのですが・・・・
パラベンが有害かどうかは、個人差がある
パラベンにアレルギーを起こしてしまう人は、実際にいます。それでも「パラベンアレルギー」の人は全人口の1%以下といわれているので、確率はかなり低いです。
パラベンは少量で抗菌力や安全性が高く、何十年も前から使用されている防腐剤。
- パラベンはダメだけど、他の防腐剤である「フェノキシエタノール」がダメな人。
- パラベンもフェノキシエタノールもダメな人。
いろいろな人がいるので、「パラベン=悪」というわけではありません。
つまり「パラベンフリーの化粧品」というのは、「パラベン」という防腐剤が合わない、ごく少数の敏感肌に適した化粧品
それだけの話であって、普通の人はそこまで気にしなくていいものです。
むしろパラベンは、安全性の高い優れた防腐剤なので、「パラベンが配合されていた方がいい」まであります。
パラベンは少量で効果を発揮し、安全性の高い防腐剤
パラベンは何十年も前からずっと使用されている防腐剤で、安全性も保証されています。
パラベン入りの化粧品を使用して肌トラブルが起きた人を、実際に見たことがないと思いまうす。
それが「パラベン=安全性の高い防腐剤」だという、何よりの証拠
配合の上限も厳しく制限されており、0.2gとかの少量しか配合されていないようです。
それに比べて、例えば保湿剤としてもよく使用されている「ペンチレングリコール」
この成分で防腐効果を出すには、2~4%と多量に配合しなければなりません。
つまり、パラベンより配合量を多くしないと効果を得られない防腐剤もあるため、パラベン以外の防腐剤でも肌トラブルを引き起こしてしまうケースもあります。
[jin-iconbox03]パラベンだけが悪者ではありません![/jin-iconbox03]
パラベンが嫌われる理由は、「旧指定表示成分」だったから
今から20年以上前は、化粧品の処方技術が未熟でした。
それゆえ、どんな肌トラブルやリスクが起きるか分からないので、「危険性の高い成分」を指定したのが「表示指定成分」です。
「その成分を使う人の体質によって、アレルギー反応を引き起こす恐れのある成分のリスト」
「防腐剤」「酸化防止剤」「タール色素」などの102種類の成分がある。
それに「香料」を1種類加えた、計103種類の成分のこと。
化粧品の成分を表示する際には、この「表示指定成分」を記載することが義務付けられていました。
しかし2001年4月にこの制度が廃止され、「化粧品の全成分表記」に変わりました。
アレルギー反応を引き起こす可能性がある「表記指定成分」にパラベンが含まれていため、「パラベン=肌に悪い」というイメージが、何故かは分かりませんが未だに残っています。
「パラベン(防腐剤)フリー」の本当の意味
重ねて申し上げますが、「防腐剤(パラベン)フリー」とうたっている化粧品にも、防腐剤は配合されています。
日本語のややこしいところですが、順を追って説明しますと
- 「パラベン=防腐剤」です。
- しかし「防腐剤=パラベン」ではありません。※パラベン以外にも防腐剤はたくさんあります。
- パラベンは「旧指定表示成分」=悪・・・・→「防腐剤が悪」
というイメージがあるため、「防腐剤(パラベン)フリー」とうたえば「肌刺激が強い防腐剤が入っていない、安全性の高い化粧品」と消費者に思わせることができます。
「化粧品業界の闇」が、ここにあります。
しかし上記にも書いた通り、パラベンが合わない人はごくわずか。
化粧品を選ぶときの基準として、「パラベンフリーかどうか」は、さほど気にする必要はありません。
もっと気にするべき・考えるべきところがあります。
例えば、エタノールや香料は肌に合わない方もいます。
「ビタミンC」や「レチノール」のような美容成分は刺激が強いため、避けている方もいます。
「パラベンフリー」だとしても、何かしらの防腐剤が配合されています。
「化粧品を選ぶときの基準」として「パラベンフリーかどうか」というのは、優先度が低いです。
「パラベンフリー」に惑わされず、自分の肌悩みに適した成分や、信頼できるメーカーなどで化粧品を選ぶようにしましょう。
「無添加」の意味
「無添加化粧品」という言葉の定義は、とても曖昧。
何かお肌に悪そうな成分が配合されていないだけで「無添加」といったり、「旧指定表示成分」のどれかが配合されていないだけで「無添加」とうたったり。
「無添加化粧品」に惑わされず、気にし過ぎないのが一番良いです。
パラベン以外にも注意すべき成分
エタノール | さっぱりとした清涼感で男性に特に好まれるが、配合濃度が高いと肌の水分を持っていかれ、乾燥を招いてしまうかも |
尿素 | タンパク質を分解して肌を柔らかくする効果がある。手荒れ対策の「尿素クリーム」は尿素が高濃度で配合されているため、強い刺激になってしまう可能性がある。 |
ハイドロキノン | シミ対策としての効果は確かにあるが、刺激が強すぎて肌の色素が抜け落ちる「白斑」が起きる恐れがある |
など、パラベン以外にも注意するべき成分はいくらでもあります。パラベンが配合されているかどうかは、あまり気にしないようにしましょ。
「パラベンフリー」は、気にしなくて大丈夫!!
ここまで「パラベンフリー」について解説してまいりました。
「パラベンフリー化粧品」を使用するメリットは、
「パラベンが肌に合わないことを自覚している、ごくまれに見る敏感肌の方」にのみ、恩恵があります。
安全性が高く、よく使用されている防腐剤なので、デメリットは特にないです。
そんなに危険な成分なら、とっくにこの世からなくなっています。化粧品の成分を見るようにあるとわかりますが、パラベンはあらゆる商品に配合されています。
それでも「パラベンフリー」の化粧品を使うとしたら、
- もし何かの化粧品を使用して、肌が荒れたり赤みが出たとして
- その化粧品を保管しておいて、別の化粧品に変更してみて
- それでも何かの肌トラブルが起きてしまったとして
それらの化粧品にパラベンが配合されていれば、そこで初めてパラベンが合わないことが判明します。
成分表示として、パラヒドロキシ安息香酸エステル(別名:パラオキシ安息香酸エステル)とか
- メチルパラベン
- エチルパラベン
- プロピルパラベン
- イソプロピルパラベン
など、「化粧品」か「医薬部外品」かで表記が変わりますが、成分表示に「〜パラベン」とか「安息香酸なんちゃら」とかが書いてあれば、「パラベン配合」の化粧品です。
そこまで来てようやく、「パラベンフリー」の化粧品にこだわるべきです。
でもそんな人なかなかいないので、基本的に「パラベンフリー」は気にしなくて大丈夫です!
パラベンが入っているかどうかは、気にしなくて大丈夫です。
他に気にするところがいくらでもあります。
- 自分の肌悩み・肌質に適した化粧水や美容液を選ぶ
- 肌への刺激になるエタノールや香料が入っていないか?
- 季節によってスキンケアを使い分ける
- 日焼け止めを毎日塗って、クレンジングで落とす
「パラベンフリーかどうか」よりも、化粧品を選ぶときに気にするべきところは、他にたくさんあります。
特にSNSがそうですが、美容の間違った知識がたくさん出回っています。
SNSの情報に惑わされず、正しい知識をもって、ご自身に合った正しい化粧品を選びましょう!